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BOBBI HUMPHREY

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


この春、ブルーイのプロジェクト"シトラス・サン"のスペシャル・ゲストとして来日したことも記憶に新しいボビ・ハンフリー。アール・クルーやドナルド・バードと共に'70年代のブルーノート・レーベルきってのヒット・メイカーとして人気を集めた彼女が、今度は単独公演で戻ってきてくれました。リーダーとしての来日は、なんと今回が初めてとのこと。フルート奏者として、ヴォーカリストとして、力の入ったパフォーマンスで魅了します。

まずはアンドレ・シムズ(ピアノ)、アーロン・キング(エレクトリック・ベース)、レナード・コヴィントン(ドラムス)による「What's Going On」から始まりました。アンドレはシトラス・サンの公演にも帯同した名手。トム・ブラウン、ロニー・ロウズ、アリシア・キーズ、レジーナ・ベルらとの共演歴があります。彼の流麗なピアノに、アーロンの重低音が絡み、バスドラ(キック)の力強いコヴィントンのプレイが力強く鳴り響きます。3人が場内を暖めた後、キングの"ファースト・レディ・オブ・フルート!"という紹介に乗ってハンフリーが登場。さかんに観客に語り掛けながら、ジャズ・フルートの大先輩であるハービー・マンの当たり曲「Comin' Home Baby」、ライオネル・リッチーの「Hello」等をカヴァーします。そして「マイゼル・ブラザーズと作ったアルバムから演奏するわ。南の島に旅するような気持ちで聴いてください」という前置きのあと、「The Trip」へ。'75年の『Fancy Dancer』に入っていた曲です。

続いてはなんと、ジョン・コルトレーン作の「Equinox」。キャリアの初期にデューク・エリントンに認められ、伝説のトランペット奏者リー・モーガンのレコーディングにも参加したことがあるハンフリーですが、自身のアルバムで伝統的なジャズを演奏したことはほとんどありません('73年の『ライヴ・アット・モントルー』は例外)。この曲では4ビートに乗ってアドリブを繰り広げるハンフリーを聴くことができました。レアです。

モダン・ジャズのひと時が終わったあとは、ふたたびジャズ・ファンク・タイムです。"これが私の故郷のテキサス・ファンクよ"といいながら「Home Made Jam」を観客とのコール&レスポンスを混ぜてパフォーマンスし、ラストはマイゼル・ブラザーズと組んだ不朽の名盤『Blacks And Blues』から生涯の代表曲「Harlem River Drive」をプレイして観客を沸かせました。

公演は本日も行なわれます。ハービー・マンやジェレミー・スタイグが他界し、デイヴ・バレンティンが闘病生活を続け、ヒューバート・ロウズも活動を縮小している今、"ジャズ・ファンク・フルートのクイーン"ハンフリーの健在は嬉しい限りです。
(原田 2016 9.28)


Photo by Great The Kabukicho

SET LIST

2016 9.27 TUE.
1st & 2nd
1. WHAT'S GOING ON
2. COMIN' HOME BABY
3. HELLO
4. THE TRIP
5. EQUINOX
6. HOME MADE JAM
EC. HARLEM RIVER DRIVE

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